先日(10/04)、僕が指導をしているアマチュア・ビッグバンドの本番がありました。
アマチュア・ビッグバンドと言っても、いわゆる社会人バンドとはちょっと違い、楽器店の管楽器セミナーから始まったグループで、リズム隊は僕の友人のプロミュージシャン、管楽器のみが生徒さんという形のバンドです。
毎年この時期の定例行事となりつつある千葉県八千代市の公民館での本番は、恐らく6回か7回目くらいになると思うのですが、今回初めて生徒さんたちがアドリブ(即興演奏)に挑戦してくれました!
初心者用のビッグバンドの譜面には、俗に「書き譜」と呼ばれるアドリブのフレーズが書かれているので、ある意味吹奏楽の延長というか、譜面が読めればそれなりにジャズを楽しめてしまうというメリットがあります。
僕の指導の方針としては、「各生徒さんたちが自分に出来る範囲で楽しんでもらいたい」という思いがあるので、決してアドリブを強要することはありません。もちろん指導者として、「アドリブが出来たらもっとジャズが楽しくなるかもですね〜」というような、モチベーションアップのためのさりげない言葉はかけていたのですが、、、
あくまで「生徒さんの方から自主的に」という思いの中、それが自然に生まれて来た事が今回の何よりの収穫だったかも知れません。
生徒さんの中には、「アドリブは限られた才能のある人がやるもの」と思っている人も少なくないようです。でも、アドリブもある意味、言語のひとつに過ぎません。例え日本語であっても、ひとつの言語を完璧に習得している我々にとっては、そんなに特別なものではないはずです。
そこで、まずは「メンタル」、「意識」を変える所から始めました。
詳しくは、生徒さんに配布した ↑ のテキストに、英語学習と比較しながら説明していますので、是非読んでみて下さいね!
次のステップとして、本番の2ヶ月前位に課した課題が「書き譜」の作成です。
「何だ、書き譜じゃないか、それではアドリブじゃないよね」と思うかも知れませんが、僕が生徒さんに送った下記のメール読んでみて下さい(一部ブログ用に脚色しています)。
『八千代台の本番でアドリブを披露する予定の方ですが、一度自分で「書き譜」を作ってみる事をオススメします。
例えばですが、プレゼンや演説に慣れていない方は、必ず原稿を作りますよね?この例えでいくと、今までは、僕が作った、もしくはアメリカのアレンジャーさんが作った原稿を皆さんが読んでいた状態です。
次のステップは、皆さん自身で原稿を作ってみる事です。とりあえず2小節でも良いです。これを本番までに積み重ねていけばどうにかなります。
こういう事を繰り返していくと、(プレゼンの場合)次は、「だいたい何時間の中で、こんな話を何分ずつしよう!』という『要点』のみで話せるようになります。
さらに慣れれば、リスナーやクライアントさんからの突っ込みや質問にも反応出来るようになりますね。これが、リズム隊のプレイに反応して自分のフレーズを吹いたり、オーディエンスを意識出来るという状態です。
同じような(同じテーマの)講演を何度もやっている方は、回数を重ねているので、メモも何もなしで2時間くらい話をします。これが、スタンダードを何度も練習し、本番も経験し、書き譜や、事前にどんな事を吹こうか全く考えずにアドリブをやる状態です。
当然ですが、皆さんがいきなり最後のステップに飛んだ場合、うまくいかない可能性が高いですよね?
具体的な方法としては、とにかくマイナスワン(カラオケ)を使い、出来ればループをかけ、同じ所を何度も吹いてみて、それを譜面にしてみて下さい。これはリズムのトレーニングや楽譜を書くトレーニングにもなり、結果総合力がアップします。』
僕たちが普段使っている日本語であっても、人前でプレゼンするような公式な場では、ある程度内容を組み立てて喋ります。それが不慣れな「ジャズ」だった場合、なおさらうまく喋れるわけありません。だから、まずは自分の中できちんと組み立て、台本通りでも良いから忠実に喋ってみることが必要なのです。
「ジャズはアドリブだからその場でとっさに考えなくてはいけない」、これはもちろん間違いではありませんが、「ひらがな」しか勉強していない小学生が、いきなり「漢字」の文章を流暢に読んでいるようなもので、それは現実的には不可能に近いということです。何事もきちんと段階を踏む必要があるということですね。
実際生徒さんたちはこのプロセスで初の本番を経験し、とても大きな自信になったと思います。
なぜなら、書き譜とはいえ、全員「自分の中から生み出した言葉で喋った」からです。これは大きな一歩ですよね!
今後の本番で、完全なアドリブを披露する日も近いと思います。生徒の皆さん、これからも楽しみながら頑張って下さいね!