2023年1月追記
Googleで「ジャズ タンギング」と検索すると、なんと僕が書いた記事は1番上に表示されていました。
嬉しい反面、ほぼ個人レベルのサイトが上位表示されるという事は、それだけ世の中の関心が薄いのかもしれません。本当はとても重要なテーマなんですけどね…
ジャズをやっている方の絶対数が少ないからでもあると思うのですが、吹奏楽でポップスを演奏する方はものすごくたくさんいらっしゃるはずです。
吹奏楽のポップスは、良くも悪くも楽譜が読めて、コンクールに出るような難しい課題曲や自由曲が演奏出来れば、“なんとなく出来た気になる”ので、あまり突き詰めていないというか、軽視している方が多いように思います。
英会話であれば「通じれば多少発音が悪くても関係ない」かもしれないですが、音楽ってそうではないと思います。
ジャズ、ポップス特有のノリや、管楽器の場合はタンギングを習得する事で格段に上手く聴こえるので、上達したい方や、最近ちまたで増えた、ジャズやポップス曲でもOKな吹奏楽コンクールで勝ちたい学校や団体は、ぜひこの記事を参考にしてみてください!
ジャズのタンギングは、僕はある程度感覚的にやっていて、テーマパークで一緒にやっていたアメリカ人にも「ちゃんと出来てるよ!」と言われたし、アメリカ留学の時も「(アメリカ人の)◯◯よりもヒロキの方がスィング出来てるね!」と言われた事もあったので、あまり突き詰めてはなかったのですが、改めて英語の勉強をし直してみたり、どうやってアマチュアの生徒さんに教えようか考えて勉強をしてみると、なかなか面白くて、奥深い問題です。
たまたま見つけたこのYouTubeの動画は、Jiggs Whighamというジャズトロンボーンの名手(2005年にはアメリカでご一緒させていただきました)によるもので、なかなか勉強になるな!と思ったら、ちゃんと彼の教本を持っていました。つまり、ただ持っていて、付属のDVDの動画も観ていなかったという事です(笑)。
全部翻訳するのは大変ですし、デモンストレーションで大体意味が分かると思うので、細かくは書きませんが、まず一番大きいポイントは「ta-ta-ta-ta」ではスィングしないと彼も言っています。
0’30″〜辺りにスキャットしていますが、教本では、「doo-el-da, doo-ba-de-el, aa-del-aa」と書いてあります。ただ、これでは日本人には分からないですよね。少なくとも僕は読めません。
ちょうど今日、イギリス人の生徒さんがウチに来ていたので、これ、読めるか?と聞いてみたのですが、彼も読めませんでした(笑)。
何度かこの動画を聴いてもらったのですが、彼には、「doo-de-loo-ba-doo-be-doo-dn-de-le-de-de-la」のように聴こえるようです(ちなみに僕にはこうも聴こえません)。
あえてカタカナで書くと、僕には「ドゥール ルーバ ルーバ ルール ディードゥ ラールラー」のように聴こえます。
興味深い点は、(あくまで推測ですが)、どの国のネイティブかによって聴こえ方が違うかも知れないという事です。
ある程度ジャズをやっている方なら、アマチュアでも「タータ タータ」ではマズイというのは何となく理解されている方も多いと思いますが、「ドゥーダ ドゥーダ」と教えられたりしているケースも多いのではないでしょうか?この動画を観て改めて思うのですが、
日本語の「ドゥ」と「ダ」の2種類で何とかなるほど単純ではなく、もっといろいろな発音を駆使していると思います。
1’49″〜では「ロック・アラウンド・ザ・クロック」という曲のイントロ部分を使った説明で、とても分かりやすいのですが、これもあえてカタカナで書くと、
「ドゥール リッ ディール リッ ディール リッ ディ(ット)
ディール リッ ディール リッディール リッ ディ(ット)」※(ット)←小さい「t」が入る感じ
のように聴こえます。同じ音の8分音符でも、決して「ドゥーダ ダッ ドゥーダ ダッ」のようには歌っていませんよね。
0’50″〜のは
「ドゥーバ ルーバ リーバ ルール リーバ ルール リーリ ルール ララ(ップ)
ドゥードゥ リール ララ(ップ)ドゥードゥ リール ララルール(ップ)」※(ップ)←小さい「p」が入る感じ
僕の解釈では、(日本で教えられる)「ドゥーダ ドゥーダ」はとても「管楽器的」、「日本語的」な発想、それに比べ、Jiggsの説明は「ボーカル的」で、より「英語的」な発想、音楽的にも自然な感じがします(ただ楽器を上手く操っているのではなく、より自然に心や脳にあるものを表現しているだけとも言えます)。
日本人である我々は、技術的にネイティヴに近づくための発音(タンギング)練習が必要かも知れませんし、教科書的な理解ではなく、「もっと自分の音楽を表現したい」という純粋な気持ちから楽器を奏でる事が必要なのかも知れませんね。
改めて英語を勉強していて感じた、ネイティヴっぽく発音するためのポイントは、母音と子音の関係が日本語とは異なるというような問題があると思うのですが、長くなると思うので、改めて書きたいと思います。
ちなみに、↓のAl Jarreau氏が歌詞付きで歌っているチックコリアの「スペイン」ですが、4’34″〜スキャットでソロをやっています。これも英語の発音の多彩さがよく分かるので、是非聴いてみてください!
Vol.2へ続く…