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2019
10.18

古賀慎治さんの投稿『ITF2020Japan実行委員会からの退任の経緯につきまして』を受けてのコメント

古賀慎治さんの投稿『ITF2020Japan実行委員会からの退任の経緯につきまして』を受けてのコメント

10月15日に、元ITF2020Japanの事務局長である古賀慎治さんより『ITF2020Japan実行委員会からの退任の経緯につきまして』という文章がフェイスブックで公開されました。

https://www.facebook.com/shinji.koga.3139/posts/519787745509624

まずはこちらをお読みください。

僕が最初に問題提起したのは4月20日です(ちなみに僕が行った行為は批判ではなく、国際フェスを成功させるための事実の開示要求と問題提起です)。

その後、古賀さんの投稿にあるように、実行委員会のプロメンバーと腹を割った話し合いを行いました。


結果このような形でうまくいくはずだったのですが、残念ながらそうはならず、実質この半年間、こじれていた状況にあります。

ちなみに僕は最後まで実行委員会のメンバーという立ち位置ではなかったので、あくまで自分自身の見方、感じ方で、自分なりに事実だと思う事や想いを書かせていただきたいと思います。

実行委員会13名全員の退任は6月30日付だった

そもそも実行委員会(音楽事業部)には東西のプロオケ奏者や大学教授を中心に、13名が名を連ねていたようですが、古賀さんの説明にもあるような経緯があり、結果6月30日付で、ホストであった呉信一先生をはじめ、全員が退任しています。これはやはり異常事態と言わざるを得ないのですが(過去のITFでホストが辞任に至り、アマチュアが代表を務めた事例はないです)、下記の7月6日のブログを見ても、まるで何も問題がなかったかのように小さく報告されています。

https://itf2020japan.com/category/itf2020%e3%83%96%e3%83%ad%e3%82%b0/

事前誘致の段階でチケット(パス)を購入してくださった方には同じ内容のメールが行ったそうですが、僕が知る限り、オフィシャルのフェイスブックやツイッターでの一般向けの発表はなかったように思います。オフィシャルHPでも、当初はTOPページにあったと思いますが、今では過去のタイムラインの中に埋もれる形になり、「事実の隠蔽」とも取れなくはありません。

古賀さんの投稿がこのタイミングだった理由

僕は実行委員会(音楽事業部)メンバー13名の中には入っていないのですが、古賀さんたちとは協力体制にあり、情報は入ってきていました。
オフィシャルページでの藤田氏による発表と、実行委員会(音楽事業部)側の言い分にあまりにも大きな違いがある点と、ほとんど誰にも気付かれずにプロメンバー13名の総辞職が起きている点に違和感、疑問を感じました。

僕は外部メンバーのままでしたが、4月に問題提起をし、腹を割って話し合いを行い、「一緒に盛り上げて行きます!」と宣言した責任があります。その状況になった事で安心し、来年の開催を楽しみにしていた方も多くいらっしゃると思うので、このまま何も公表されず、蓋を開けたら「我々は関わっていませんでした」では、そんな皆さん方を欺く行為になってしまう、古賀さんには事務局長としてきちんと退任の経緯を説明していただき、あとはそれを受け止めた一般の方もプロの方も、ご自身で関わるか関わらないかを選んでもらえるようにしませんか?と提案をしました。

それを受けての古賀さんのコメントという事になるのですが、当然この異常事態は国際組織側でもおかしいと感じるわけで、実際に開催するのか、中止にするのか、つい最近まで協議されていたため、発表がこの時期になったという経緯があります。

この決裂は「(トロンボーンの)プロ対アマ」ではない

一部ネット上で、「プロとアマが喧嘩をしている」というような意見がありました。

確かにそう見えても仕方ないかもしれませんが、僕は事実は違っていると思います。そもそもこの実行委員会やフェスの運営というのはボランティアです。古賀さんも僕も、誰も報酬をもらっていません。

ボランティアの中にはもちろん、アマチュアのトロンボーン奏者も関わっています。あまり公表はされていませんが、IT関係者やデザイナー、国際フェスに不可欠な語学のプロなどが実行委員会の13名以外にも関わっていました。そういった(トロンボーンは)アマチュアであるメンバーも、今回の13名と一緒に協力を打ち切っていますので、これは「プロとアマの喧嘩ではない」と言い切る事が出来ます。

決裂の原因は?

何度も申し上げますが、これはあくまで僕の個人的意見です。

実行委員会(音楽事業部)側はあくまで、各地のトロンボーン協会や楽器メーカーさんなどのスポンサーに筋を通し、クラシック、ジャズというジャンルの垣根も作らず、プロアマ関係なく、将来の日本のトロンボーン業界の発展のために、みんなで一丸となって成功させようとしていたと思います。50年続く国際フェスで、趣旨や大義があるので、当然と言えば当然なんですが…

それに対し、藤田氏のほうは、自分が実現したい自分なりのフェスの実現をさせようとしている(学園祭規模でやっている)ように僕には見えています。

これだけの大きいフェスを成功に導くためには、いろんな角度からその道の有識者が意見を出し合い、問題点も真摯に受け止め、ひとつひとつ解決していく必要があります。そういった意見にほとんど耳を傾けなかった事が、ここまでの決裂に至っていると言わざるを得ません。

誘致の段階から、多くのプロ奏者にも協力をあおぎ、SNSでの動画の拡散もあり、(プロ奏者の知名度なども手伝って)ここまで漕ぎ着けたわけです。それ以外にも多くの有識者が関わっている事は先ほども述べましたが、藤田氏は何か問題提起をされると、「自分とは考え方が違う」という形で切っていった経緯があります(僕も誘致段階で同じ事をされています)。

もちろん意見が合わないという点は必ず出てくるとは思いますが、13名のプロが全員退任するという事態はやはり異常であり、国際フェスのトップを務める立場として、何も問題がないとは言い切れないと思います(本来トップは呉先生であり、藤田氏ではなかったはずなんですが…)。

トロンボーンのプロだけでなく、多くの協力してくださった「その道のプロ」に対し、あまりにもリスペクトに欠ける行為だと僕は感じています。

権限が藤田氏になった決定的な理由

これは書くべきか随分迷ったのですが、伝えないと結局誰も理解出来ないと思うので、あえて書かせていただきます。

今回はパスが予定枚数に届かなかったにも関わらず、開催が決行になりました。つまり、非常に大きなファイナンシャルのリスクがあるという事です。そのリスクを組織としては誰も背負う事が出来ない中、藤田氏が名乗り出たと聞いています。

会社で言えば「筆頭株主」ですから、その方の権限はかなり強いものになるのは当然です。良い悪いは別にして、ある意味「国際フェスの私物化」は筋が通っているんですよね。最終的にはこれが最も大きな決裂の要因ではないでしょうか(お金は出すが、口は出さない、それぞれのプロをリスペクトし、裏から支えるという形であれば、とても良い運営になったはずですが…)。

成功に向けての想い

ある程度は個人的な想いも入ってはいますが、決して感情的に現在の実行委員会を批判するつもりもないし、フェスが潰れてほしいと思っているわけではありません。僕も古賀さんたちと同じように、成功を祈っています。

決して藤田氏の行動に賛同するとは申し上げられませんが、政治の世界でも与党と野党の意見が合わないように、決裂はどの世界にでもあります。双方が意見を出し合い、日本が暮らしやすくなってくれれば良いのと同じで、結果として成功してくれれば良いだけの話です。

実際、藤田氏が「ITFを日本で開催したい!」と本気で行動しなければ実現していないし、本来頓挫する話だったものを、リスクを背負ってまでやろうとしているエネルギーは賞賛に値すると思います。

敵を作るというのはとても勇気のいる事です。僕も含め、そこまでしてやろうという人は誰もいなかったのですから、何がなんでも結果を出してほしいと思います。

懸念される点が多数ある

ですが、多少なりともまだこのフェスに関心のある方は、オフィシャルHPやSNSでの発信内容の情報の少なさや、偏りに、疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。

・そもそも今、どなたが運営に関わっているのか?

13名の東西のトッププロが退任している状況の中で、現在どなたが運営を行っているんでしょうか?僕が知る限りでは、アマチュアの方が運営しているらしい、程度の情報しかありません。

ITF2020Japan概要

公式ページには、日本側は藤田氏の名前しかありません。アマチュアの方は当然、別に仕事を持っている方などが多いと思うので、名前を出せない、何らかの事情はあるかもしれませんが、先ほどもお伝えした通り、これはボランティアですので(隠れて副業をしている訳ではないので)、責任を持って「国際フェス」を運営しているのであれば、きちんとメンバーを公表すべきだと僕は思います。

これまでの準備・ここからの準備:ITF2020Japan事務局マネージャーです
https://ameblo.jp/sz956/

藤田氏のブログには、「多くの国内のプロ奏者の先生方のご助言をいただきながら」とありますが、事実としては13名もの公式メンバーが退任しているのです。この状況で、現在も「多くの国内のプロ奏者」が助言をしているとはとても考えにくいです。藤田氏の書かれている事が事実であるならば、もう少しSNSなどでもその方たちを紹介出来るのではないでしょうか。

・翻訳、通訳の問題

僕は誘致の段階から「国際フェスなんだから、せめて英語のサイトは作ろうよ」と助言していたのですが、公式HPに英語が入ったのはつい最近の事です。僕や、海外経験がある友人には「日本のITFの情報が全然分からないけど、どうすれば良いの?」というメッセージが多数届いています。

翻訳をやっているスタッフはゼロではないのは分かりますが、このスピードでは間に合いません。つまり、人手が足りていない事を証明しています。

そして、最近「韓国語」も公開されましたが、僕はまず「中国語」だと思うのですが…

「アジア初の国際トロンボーンフェスティバル」である事を考えても、圧倒的に人口の多い中国語を公開しない点は疑問です。下手すると「日本人は中国人や台湾人を相手にしていない(反中の意思表示なのか)」とまで思われてしまう危険性もあります。

翻訳は事前準備の話ですが、英語圏でない日本での開催において、「通訳」は必要不可欠です。これだけ大きなイベントで、必要な人数(特にトロンボーンの事も分かる人)が集まっているとは到底思えません。大量のゲスト奏者のアテンドも必要だし、フェスにはコンサートだけでなく、マスタークラスなどもありますが、欧米開催の際は当然英語です。今回日本人が参加しても、英語が出来ない方はほとんど理解出来ない可能性もあります。

・開催日程の問題

開催される日程は、欧米では夏休み中ですが、日本ではまだ学期中です。せっかく学生向けの国際コンクールがあるのに、日本の音大生は参加出来るんでしょうか?音大のトロンボーンアンサンブルなども参加出来るんでしょうか?現在の運営メンバーは、各大学の先生方と連携を取れているんでしょうか?

・その他

参加者の食事の問題があります。特に昼食時は同じ時間、場所に集中すると思われますが、会場には大きなレストランもないし、周辺にもあまりお店はないと聞いています。欧米開催の場合、学校を利用するので、いわゆる「学食」があり、大勢での食事には困りません。このような、イベント本編とは一見関係ない問題も多数あると思うのですが、そこまで手が回る組織体制になっているのかは甚だ疑問です。

※この記事が拡散されれば、当然現在の実行委員会の方も目にすると思いますので、フェスの成功のためにも、きちんと情報を開示し、安心してパスを購入出来る形にしていただきたいと思います。

未来に向けて出来る事

来年のフェスが成功してほしいのはもちろんですが、僕らは今回の件を教訓にし、未来を見据える必要があると考えています。「過去」の事ではなく「未来」のために、起きた事を冷静に分析し、次に繋げてほしいと思います。

具体的には、やはりオフィシャルな「トロンボーン協会」を中心に、トロンボーンのコミュニティが一枚岩になる必要性を感じます。

我々の業界は、水や電気、水道といったライフラインとは違い、なくても生きていけるものです。個々がバラバラに、仕事として、あるいは趣味としてトロンボーンを演奏する事はそんなに難しくはないかもしれませんが、これから(音楽の)デジタル化や、少子高齢化などの問題もあり、市場の縮小はほぼ確実と言って良いでしょう。

そんな状況の中で、(文化的価値が存在する)居場所を維持していくためには、もっと業界が一致団結している必要があると言えるのではないでしょうか。

もしも数年後にまたこのフェスが日本で開催出来るチャンスをいただけるのなら、その際は最初から「日本トロンボーン協会」が先導し、ジャンル、プロアマなどに関係なく日本全体を巻き込み、それぞれの道のプロが能力を発揮し、個人の資金に頼るような事をせず、適切にファンドレイジング(資金調達)などが行われる形で成功に繋げてほしいと強く思います。

最後になりますが、まずは今回のITF2020Japan(大阪)の成功を陰ながら見守らせていただければと思います。

最後まで読んでくださってありがとうございました。

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PROFILE
フジイ ヒロキ
フジイヒロキ/藤井 裕樹

株式会社マウントフジミュージック代表取締役
Trombonist, Composer, Arranger,
Teacher, Writer, Producer, Consultant

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