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2015
05.17

トロンボーンの持ち方について。

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皆さんはトロンボーンの正しい(理想的な)持ち方(構え方)をご存知ですか?

持ち方を改善するだけで音色の向上(綺麗な音)やスタミナ(持久力)にも良い結果が期待出来るので、ぜひこの記事をしっかりと読んでみてください!

意外に誤解が多いのですが、

トロンボーンは「左腕のみ」で支えています!!

知ってましたか?

もちろん音大生やプロでは当たり前なんですけど、この話をすると驚くアマチュアの方が結構いらっしゃいますね。きちんと指導を受けていない中高生にはとても多いです。

だいたい想像がつくかとは思いますが、なぜ左腕だけで支えないといけないかというと、

それは、

右腕でスライドをスムーズに動かす事が出来ないからです。

両腕で支えてしまうと、間違いなくこの動きに支障が出ます。

スライドが凹んでいないのに動きが悪いという人は、右腕でも支えてしまっている可能性が高いですね(手入れが悪く、内管で汚れやスライドクリームがこびりついている原因も考えられますが)。

さて、この辺りまではきちんと指導を受けていれば一般的に言われている事だと思いますが、ここからはあまり触れられていないポイントについて書いてみようと思います。

突然ですが、

人差し指、中指、薬指、小指の中で一番握力が強いのはどの指だと思いますか?

正解を書く前に、ふたつの実験をしてみましょう!

①次の2枚の写真のように、左手の「親指+人差し指」と、「親指+小指」で「Oリング」を作り、青い丸印部分の固さを、右手の人差し指で触って比べてみてください。

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いかがでしょう?違いがわかりましたか?

ではもうひとつ。

ちょっと太目のペンか何か(ドラムのスティック、なければ右手の人差し指でもOK)を左手で下の写真のようにしっかり握り、右手で矢印の方向に回してみましょう。その際、小指をしっかり持った状態と、そうでない状態を比べてみてください。

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どうでしたか?

①の実験では「親指+小指」の方が青い丸印の部分が固くなり、②の実験では小指まで使ってしっかり握った方が、ペンが回りにくかった事が分かっていただけたと思います。つまり、

人間は小指の握力が一番強いのです!

何となくイメージ的に、人差し指側の方が強い気がしますよね?

でも、実は逆なのです。

この話のどこがトロンボーンの持ち方と関係があるのでしょうか?(そして、トップの写真の矢印の意味は何でしょう?)

僕の生徒さんにも、下記の1枚目の写真のようにグリップのやや上部を握ってしまい、小指が浮いたような状態で、うまく使えていない方が結構いらっしゃいますね(手の小さい中高生や女性に多い気がします)。

この状態では人差し指や親指に力が入ってしまうため、非常に疲れやすいです。テナートロンボーンであれば、楽器そのものも軽く、F管レバーの操作が必要ないのでまだ良いですが、テナーバストロンボーンやバストロンボーンでは間違いなく動作に支障が出ます。

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理想は次の写真のように、グリップのL字部分辺りを握るイメージで、小指→薬指→中指の順番に握っていくような感じです。こうする事で、さっきの実験のように、左手の握力が最も発揮される状態になるのではないでしょうか?

ほぼ小指、薬指、中指の3本で支えられるので、親指の力が抜け、レバーの操作もスムーズになるはずです。

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前回のブログ(https://mtfujimusic.com/1606/)で、多少の運動などもした方が良いという話を書きましたが、明らかに握力が足りないと感じる人は普段ケースに入れて楽器を運搬する際、左手のこの3本(小指、薬指、中指)を意識して持つというのもありかも知れません。そうすれば、わざわざ筋トレの時間を取る必要もありません。

ただし、やり過ぎは禁物ですので、ほどほどに行って下さいね(例えば、駅から学校までの5分と決めても良いかもです)。

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それからもうひとつ、右腕の使い方についてです。

人間の腕というのは、最も自然に動かすと、上の写真の青い矢印のように、放物線を描くように動きます。

それに対してスライドというのは直線の設計ですよね?この仕組みを理解していない方も意外に多く、そのために、内管に対し、常に外管に下向きの力が必要以上にかかってしまっています。これは7ポジションのように遠くなるほど先端に重力がかかるため、その力は大きくなります。

内管を線路、外管を列車だと考えてみてください。
線路が直線なのに列車が右折しようとする力がかかると、間違いなく脱線し、双方が破損しますよね?

つまり、

人間にとっては放物線に動くのが自然であっても、列車が線路を走るように、スライドに対して自然な腕の動きをしてあげないといけない。

という事です!

前回のブログ(https://mtfujimusic.com/1606/)では、「力を抜く」という話にも触れましたが、このような身体の仕組みを理解する事でも「必要な部分の力を発揮し、無駄な部分の力が抜ける」かと思いますので、是非意識してみてくださいね!

そして、
大切な楽器をいたわってあげてください
余談ですが、このグリップの持ち方は、野球のバット、テニスのラケット、ゴルフのクラブ、剣道の竹刀などにも共通していて、やはり小指からしっかり握る事を教わるそうです。ちゃんと覚えていないのですが、僕はこの仕組みと上記の実験を、何かスポーツの番組か本で知ったと思います。意外なところに使えるヒントが隠れている場合もあるので、音楽だけでなく、いろいろな事に好奇心を持ち、勉強すると良いのかも知れませんね!

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PROFILE
フジイ ヒロキ
フジイヒロキ/藤井 裕樹

株式会社マウントフジミュージック代表取締役
Trombonist, Composer, Arranger,
Teacher, Writer, Producer, Consultant

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