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2020
05.13

吹奏楽部の皆さんがコロナ禍で出来る事♪

510日、全日本吹奏楽連盟から、吹奏楽コンクールやマーチングコンテストなどの中止の発表がありました。

この春から吹奏楽を始めようと思って入学を楽しみにしていた方、すでに吹奏楽部に在籍していて「今年こそは金賞を!」と目標を掲げていた方、顧問の先生や各楽器の指導者の方など、多くの方がショックを受けた事が想像出来ます。

自分の呼吸で奏でるさまざまな楽器が集まり、大勢で合奏をするのが醍醐味である吹奏楽をオンラインに置き換える事は不可能で、緊急事態宣言が解除された後も「密」を避けられない吹奏楽がどうなっていくのかは誰もが不安であり、解決策を見出せないもどかしさを感じていると思います。

僕自身は現在、ほとんど吹奏楽の世界に関わっていないのですが、中学校で吹奏楽部に入り、トロンボーンと出合い、プロになり、現在に至っているので、中高での貴重な体験がなければ、確実に違う人生になっていた事でしょう(こんなに充実した人生になっていなかったかもしれません)。

コロナウイルスのせいで吹奏楽部をやめてしまう、音大進学を諦めてしまう、卒業後に夢を諦めてしまうといった事が連鎖すると、長い目で見て、日本の吹奏楽界、音楽業界、エンタメ業界、文化界にとって大きな損失だと思うので、少しでもそれを抑止する活動をしていかなければと感じました。

業界(プロ)向けに連載を始めたブログ「フリーランス音楽家(ジャズ・クラシック)の経営研究室」Vol.2にも書いたのですが、コントロール出来ない事はどうしようもないので、「出来る事」にフォーカスする必要があります。 

座学のススメ

シンプルに思うのは、「今ほど座学に適している時期はない」という事です!

家庭科の授業で教科書を読むよりも、多くの生徒さんは調理実習のほうが楽しいと感じるでしょう(厳密に言えば、作った料理を食べる事…笑)。

僕は運動音痴なので(汗)、体育はあんまり好きじゃなくて、今はもっぱら観る側ですが、身体を動かすほうが好きな人が多いかもしれません。

楽器演奏も同じで、演奏をするより音符を眺めているほうが好きという人は、かなり変わり者の可能性がありますね。ダメじゃないですけど(笑)。

好き嫌いの視点で考えると「座学は嫌い、退屈」かもしれませんが、(上達のために)重要かそうでないかで考えると、間違いなく重要だと考えます。

iPhoneなんかは説明書を読まなくても感覚的に操作出来る人が多いと思うのですが(特に若い世代は)、楽器演奏やそれに関わる身体的な部分(筋肉や脳の働き,etc.)はとても複雑で、説明書をしっかり読む事が上達の近道になり、また、怪我をしないためにも重要になるのではないでしょうか(感覚も大切ですが)。

教則本は音符よりも説明部分が大事!

僕が中学生だったのはもう30年近く前になりますが、当時金管楽器の教則本と言えば「アーバン」くらいしかありませんでした。
(現在は著作権が切れているので無料ダウンロードも出来るようです)

僕の英語の成績はとてもヤバくて(笑)、中11学期、「関係代名詞」の辺りで挫折しました。そもそも英語が嫌いだったこともあり、教則本の文字の部分は全て飛ばしていました。

2からは東京都の全国大会にも出場している強豪校に在籍していて、学内、学外で個人レッスンも受けていたので、直接アドバイスを受けられるというラッキーな状況ではありましたが、レッスンで「ちゃんと説明部分を読みなさい!」と言われた事はあまりなかったように思います。

でも、今思うと、もう少しきちんと読んでおけば、先生のレッスンの理解度も深まり、もっと上達したかも?と感じますね。

たとえ全音符一つでも、シンプルなスケールでも、どんな意図でそのエチュードがあるのかを理解していないと、ある意味簡単に出来てしまうけど、何も身に付いていないという状況になりかねません。

スポーツの世界と比べ、吹奏楽、音楽業界はまだまだだと感じますが、「気合いと根性」ではなく、テクノロジーを駆使した科学的な上達のアプローチ、情報も増えてきています。

こちらの動画は、ベルリン・フィルのホルン奏者サラ・ウィリスさんが医療用のMRIに楽器を持ち込んで撮影した映像です。演奏中の口の中の様子(舌の動き、位置など)がわかる貴重な資料です。

こちらの動画は、脳科学の視点から楽器やスポーツの上達について解説していて、「イメージ」の大切さを説いています。これは本当に重要で、「30年前に知りたかった!」と強く思います(5分程度なので絶対観てください!)。

僕の学生時代と違い、情報が増えすぎているため、どれが自分にとって有益かの判断は難しくなっているかもしれません。とは言え、良いものに出合い、しっかりと読み込めば、かなり効率良く上達出来るのではないでしょうか(もちろん練習自体は大切ですが、出来ない時間での「学び」で、上達のスピードを上げる事が出来ます)。

ちなみに僕も、「管楽器のためのお役立ち基礎練習」という簡単な教則本を販売しているのですが、内容が極めてシンプルなので、購入者には「必ずサイトにある説明を読んでください」とお伝えしています。

https://mtfujimusic.com/category/wind-basic/

YouTubeApple MusicAmazon Musicなど、とりあえず今は無料や定額制のサービスでも良いので、片っ端から音楽に触れ、憧れ、お手本になる演奏を探すとか(事態が収束したら生演奏を聴きに行ってくださいね!)、普段はパート譜しか見ないけど、スコアを読んでみるとか、たくさん出来る事がありそうです。

顧問の先生方も、顧問になるまで吹奏楽に関わった経験がない方(ピアノや合唱しかわからない)も多いと思います。この機会に「座学」で各楽器について学んでみるのも良いのではないでしょうか。

オンラインレッスンを始めた方も多く、以前より全国どこからでも気軽に受講が出来るようになってきているのもチャンスです!

今後も不定期ではありますが、上達に欠かせない「座学」の提供をしていきたいと思います。

吹奏楽を愛する学生の皆さん、関係者の皆さん、今出来る事にフォーカスして頑張りましょう!

※このページのトップと最後に使用した写真は、NPO法人ネクストステージ・プランニング(当時はプロジェクト)に来たご依頼で、幼稚園の創立50周年イベントで吹奏楽をやらせていただいた時のものです。

若い音楽家支援のNPOですが、このイベントでは僕と同世代の素晴らしいプレイヤーにも賛助で加わっていただきました(東京佼成ウインドオーケストラや、在京オケのトラ、テーマパークのプレイヤーなど)。現在僕はジャズ、ポップス方面での仕事がメインで、まさかプロになってから吹奏楽の指揮をやるとは思ってもみませんでしたが、貴重な経験でした。やはり吹奏楽は楽しいですね!

ここに出演してくださったメンバーのほか、素晴らしいプロ奏者が、今後も音楽の仕事に携わり、さらに今の中高生、音大生たちが夢を追いかけ、こういったステージに立てるよう応援したいと思っています。

株式会社マウントフジミュージック代表取締役/トロンボーン奏者 藤井裕樹(フジイヒロキ)

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初心者用の楽曲でよく使われる3つの調(実音のBb,Eb,F)に限定し、スケールやブルースを使用しながら楽しく上達出来ます。

デモ音源は現役ジャズミュージシャンによるレコーディングで、アドリブソロのサンプル付き!

PROFILE
フジイ ヒロキ
フジイヒロキ/藤井 裕樹

株式会社マウントフジミュージック代表取締役
Trombonist, Composer, Arranger,
Teacher, Writer, Producer, Consultant

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