緊急事態宣言解除の都道府県でも、密を避けるために合奏が出来ず、個人練習のみだったりと、吹奏楽やオーケストラ、ビッグバンドなどでは厳しい状況が続いています。
解除されていない地域では練習もままならないと思い「吹奏楽部の皆さんがコロナ禍で出来る事♪」という記事を書かせていただきました。たくさんの方に読んでいただき、ありがとうございます!
こんな時だからこそ出来る「座学のススメ」という事で「読んだり、観たり、聴いたり」して、よりトロンボーンや吹奏楽、音楽に興味をもってもらえたらと思っています!
マイケル・デイビス氏の「ブラスバズ」を翻訳します!
マイケル・デイビス氏は、アメリカのイーストマン音楽学校(イーストマン・ウインド・アンサンブルも有名ですね)を卒業したトロンボーンプレイヤーで、ジャズだけでなく、ローリング・ストーンズやマイケル・ジャクソンなどのツアーやレコーディングにも参加しています。
さらに特筆すべき点は、この方、トロンボーンや金管向けのオリジナルのCDや教材などをめちゃくちゃいっぱい制作、出版しています。トロンボーンプレイヤーや作編曲家の域を超えた「ビジネスマン」ですね!(経営者としても参考にさせてもらっています)
マイケルには2004年にアメリカ・シカゴで行われたミッドウエスト・バンドクリニックでお会いしました。気さくな方で、写真撮影も快くOKしてくれました(それにしてもデカイ!僕は身長173cmです)。
今回取り上げる「ブラスバズ」は、おそらく最も初心者向けに書かれた教則本だと思います。
彼の教則本の良いところは、お手本や伴奏音源が充実している事!
クラシックの方は、アカペラでメトローノームに向かって練習というのが当たり前かもしれませんが、アマチュアの方だとちょっと退屈だったりしますよね。ブラスバズは楽しみながら練習出来ます!
吹奏楽をやっている方は特に、クラシックやオリジナルだけでなく、ポップスも演奏すると思うので、ぜひ、ジャズやビッグバンドにも興味をもつきっかけにしてほしいです。
クラシックは指揮者に「着いていく」感じだったり、「テンポの揺れ」みたいなのが良さだったりしますが、ジャズ、ポップスは「ドラムやベースを聴いて、インテンポでグルーヴに乗る」必要があります。
プロでもクラシック奏者がジャズ、ポップスをやると、この感覚をつかめていない人が結構いますよ。早いうちからこの感覚を学ぶ事で、テンポ感、リズム感、ハーモニーの感覚も養えて、クラシックをやる時にも間違いなく役立ちます!
トランペット、ホルン、チューバ用にも書かれているので、トロンボーン以外の金管の方もぜひ取り入れてみてください。
では、本日は各エクササイズに入る前の「イントロダクション」の部分です。
「吹奏楽部の皆さんがコロナ禍で出来る事♪」にも書きましたが、教則本は音符よりも書いてある文章が大事で、それを読まずにやると損をします。英語が苦手な僕は随分遠回りをしました(それを反省し、今、こうして勉強しています)。
「イントロダクション」は「取扱説明書」みたいなものなので、何より重要ですね!
(金管楽器以外の方にも有益な内容が書いてあるので、「いいね!」と思ったらシェアしてあげてください)
株式会社マウントフジミュージック代表取締役/トロンボーン奏者 藤井裕樹(フジイヒロキ)
【序章】
私たちが金管楽器を手に取って演奏を始めたくなるのはなぜでしょうか?
とてもシンプルです。楽しいからです!
私の人生の経験上、自分の空気(呼吸や唇の振動)で音を作り出す金管楽器に勝るものはないと思います。バンドの一員である事に勝るものもありません。音楽を奏でる事に勝る楽しみはありません。カッコイイですよね!
Brass Buzzの良さは何でしょうか?
Brass Buzzは、(金管楽器の演奏に)必要な要素を網羅し、楽しみながら習得する事が出来ます!楽器の演奏に興奮し、熱狂するに違いありません。
Brass Buzzの本とCDは、あなたの毎日の練習やウォーミングアップの一部として機能します。最も重要な基礎を学び、あなたの耳を訓練し、さまざまなスタイルを学び、さらには即興演奏(インプロヴィゼーション)を始めるのにも役立ちます。
DVDは、視覚的な参考資料として貴重です。プロの演奏家が楽器を演奏する時に、どのように表情をしているかが分かるでしょう。とても参考になります!
(DVDを観ながら)良い習慣を強化し、悪い習慣が始まるのを防ぐ事が出来ます。
金管楽器を上手に演奏するための最も重要な鍵の一つは、演奏を始める前に耳で音を聴き(周囲の音を聴き?)、頭の中で絵を描く事(イメージをもつ事)です。
Brass BuzzのCDとDVDは、その両方のツールを手に入れる事が出来ます。
まだ金管楽器を演奏する事に夢中になっていない方は、すぐに夢中になるでしょう。
Brass Buzzへようこそ!
マイケル・デイビス
【まず第一に】
本書で紹介する中で最も重要な事の一つが、「イメージ化」「ビジュアル化」という概念です。
なんだか変な感じがしますが、実際には謳い文句通り「ビジュアル」です。
それは、自分がどうなりたいのか、どんな音を出したいのか、何を成し遂げたいのかを頭の中でイメージしてから取り組む事です。
人生のあらゆる場面で応用出来る概念であり、特に金管楽器の演奏には効果的です。
簡単に言うと、それはあなたが達成したい理想的な最終結果をイメージする事です。この場合は、理想のフルサウンド、正確なピッチ、タイム、リズム感を意味し、それが演奏を始める前にあなたの頭の中に存在している必要があるという事です。
世界の偉大なアスリートの多くは、個人競技のスポーツで「イメージ化」という概念を活用しています。
驚くほど効果があります。この考え方を演奏に応用するためには、リスニングにフォーカスする必要があります。
私がオススメするのは、以下の公式です。
聴く – 評価する – 調整(アジャスト)する
あなたの楽器の偉大な音楽家の演奏を聴きましょう。
優秀な音楽家のコンサートに行きましょう。このDVDとCDに収録されているサンプルを聴いてください。
よく聴いて、これらのプレイヤーと同じように演奏している自分をイメージしてみてください。
次に、あなた自身の音を評価してください。自分に正直になってください。
より良い音を出すためにはどうすればいいのか。
たくさん吸って吐く、より良いテンポ、イントネーションの注意、より多くの練習時間、より多くのレッスン, etc.
最後に、そのために必要な調整を行いましょう。
このプロセスがあなたの良い習慣の一つになるようにしてください。それが当たり前になるまで取り組み続けてください。演奏を始める前に、頭の中にある理想の音が出るまで繰り返してください。
これまでのキャリアの中で何千回ものコンサートやレコーディングのセッションの中で、自分の理想とする音、一緒に演奏しているグループに貢献したい理想の音を出すために、自分の演奏方法を調整しなかった事は一度もありませんでした。
エクササイズを始める前に、金管楽器を演奏する上で最も重要な部分についてお話しましょう。
「エアー」です!
Brass Buzz全体で空気を意識する事を忘れないようにしましょう。DVDで呼吸法のエクササイズをチェックして、それを日課の一部にしてみましょう。
各エクササイズは、音源の前に4拍のクリックが入っています。いくつかは3拍です。
これらのクリックは、指揮者、ディレクターのカウントオフに似ています。クリックを活かして、曲が始まる前にテンポを感じてから演奏しましょう。
チューニングの話をしましょう!
演奏前のチューニングはとても重要です。
良い音程で演奏するのは、カヌーを漕ぐのに似ています。A地点からB地点への移動を成功させるためには、オールを一方だけ動かしてはいけません。それではグルグル回って終わりで、行きたいところに行けなくなります。カヌーにしても、良い音程の演奏も、常に調整(アジャスト)しなければなりません。
最初のエクササイズでチューニングをします。
このエクササイズでは、3つの音のサウンドと音程を合わせてください。音が外れていることはわかっているけど、自分の音がシャープかフラットかわからない場合は…推測してみてください。
そして、それが良くなったか悪くなったかを聴いてください。何をするにしても…
常に聴く事、調整(アジャスト)する事を続けてください!