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2021
09.26

幸せの国フィンランドからの音楽便りVol.6「働く女性は幸せか?」

私が今住んでいる国フィンランドでは、たくさんの女性が、国や会社の重要なポジションで働いています。

国会議員の女性の割合は現在は47%。4名の差なので、半数と言って構わない数字だと思います。首相のサンナ・マリンを筆頭に、各省の大臣も19名中11名が女性です。学校の校長や、会社の役員としても、たくさんの女性が活躍しています。こちらの感覚的には、「すごい」というよりは、「当然」と言う感じかもしれません。

ですが、さすがに、2019年当時、世界最年少34歳で首相に就任したサンナ・マリン氏には、若い女性(そして美しい!)ということで、注目が集まりました。現在、若き女性が首相であることを、誇りに思っているフィンランド人女性も多いのではないでしょうか。

【サンナ・マリン氏インスタグラム】
https://www.instagram.com/sannamarin/?hl=fi

マリン首相は、経済的に恵まれた家庭で育ったわけではありません。彼女が幼少時に、母親と、アル中の父親は離婚。以後、母親と同性パートナー(レインボーファミリーと呼ばれる)の元、決して裕福とは言えない家庭で育ちましたが、タンペレ大学大学院を卒業し、政界に入っています。2018年に出産し、現在は幼い子どもの母親でもあります。この現代版シンデレラストーリーも、多くの女性や、貧しい家庭を勇気づけるものかもしれません。

2020年の時点で、世界の国会議員で女性が占める割合は、平均25.5%、日本では女性の衆院議員は9.9%、参院議員は22.9%だそうです。フィンランドの国会では、すでに1970年代に女性の割合が20%を超え、徐々に増えていきました。

それでも、フィンランドの女性の1ユーロは84セントだと言われています。これは、男性が1ユーロもらうのに、女性は84セントもらっている、という事のたとえですが、今でも女性の方が給料が安い職種に就いている割合が高いのです(1ユーロ は現在128円ほどですが、感覚としては、100円に近いと思います)。

 

フィンランドでは、子どもが3歳になるまで両親のどちらかが育休を取れるので、産休から子どもが3歳になるまで、子育てに専念する女性はたくさんいます。

ですが、それ以降、専業主婦はあまり見かけません。ほとんどの女性が働いているか、勉強や職業訓練をしているので、現代社会では専業主婦は少数派なのです。

(フィンランドでの子育てについては、以前、Vol.2「仕事と子育て」でも紹介しました)

私自身は共働き家庭で育ったので、小さい頃は、専業主婦のお母さんがいる家庭が、うらやましく思うこともありましたが、自分が専業主婦になるという選択肢は、基本的に頭にありませんでした(笑)。

実際、自分が産休、育休で家に多くいた一年は、のんびりと出来て良かった面もあれば、働きたくて、いても立ってもいられないような時もありました。

「女性が働く事も推奨されているが、専業主婦が社会的に認められていて、主婦の社会保障しっかりしている日本」に住んでいる女性が幸せなのか。専業主婦であることが幸せなのか。

「女性が働きやすい環境があり、働く事が当然とされているフィンランド」に住んでいる女性が幸せなのか。女性が外で働けることは幸せなのか。

これは、本人と家族の価値観、希望次第で、いわば究極の質問だと思います。私は、自分自身が外で働ける環境にいる事をありがたく思っていますが、専業主婦として、子育て、家事諸々をこなしている方の事も、とても尊敬しています。日本でも、働き方が多様化しているようですが、主婦業があり、保険や年金などの社会保障があるのも、世界的に見ると実はユニークなシステムだったんですね。

長い間、妻が専業主婦として忙しい夫を支えていたが、子どもが巣立つくらいの時期に離婚。夫は稼いでいたために充分な年金をもらえるが、扶養者だった元妻は最低限な年金しかもらえない、慰謝料も無い(慰謝料という観念が無い)という話を、フィンランドで聞く事もあります。

音楽の仕事関係ではどうでしょう。

まず、女性に限らず、音楽を職業とする人は、「音楽で働きたい」という本人の強い意思があると思います。働かないといけないから働いているのではなく、働きたくて働いている人が大多数なのではないでしょうか。

世界的に見て、どのくらいの男女が音楽を職業にしているのかは、さすがにわかりませんが、たとえばポップス業界では、男女の人数差はあまり無いように思えます。その一方で、プロのジャズ業界では、ボーカリストやピアニストを除けば、まだ男性の割合がだいぶ高いようです。

クラシックの世界では、ソリストに限って言うと、あまり男女の人数差は無いでしょうし、プロのオーケストラでも、女性の割合はかなり高くなってきました。日本でもフィンランドでも、ヴァイオリン・セクションなどは、男女半々、または女性の方が多いオケもあると多いと思います。

ですが、管楽器、特に金管となると、少し状況が変わってきます。金管楽器を吹いている女性の人口はかなり多いものの、実際にプロとして活躍している人数は、男性に比べれればまだ少ないのが現状です。とはいえ、今はオーディションでも、一次審査はカーテン審査(演奏者が審査員に見えないため、性別や年齢が分からない)が多いですし、男性だから合格した、女性だから落ちた、などと言う話は聞きません。

実は、フィンランドでは、二人の日本人女性トランペット奏者がオーケストラで活躍しています。フィンランド放送交響楽団の櫻木厚子さんと、トゥルク・フィルハーモニーの中澤恵さんです。

また、著名な女性作曲家や女性指揮者も、割合としてはまだまだ少ないかもしれませんが、ヘルシンキフィルの常任指揮者スザンナ・マルッキ氏や、作曲家の大御所カイヤ・サーリアホ氏を初めとして、世界的に活躍しているフィンランド人女性は少なくありません。

現在は、世界で活躍されている日本人女性指揮者も増えてきていますね。

国や地域によって差はあれど、少なくとも音楽業界では、性別や人種的背景にとらわれずに実力のある人が活躍出来る世界へと、徐々に変わってきているのではないでしょうか。

最後に、今回の動画は、一足早く紅葉の季節を迎えているフィンランドから、「もみじ」をお送りします。「森と湖の国フィンランド」には山がないので、夕日の照る山のもみじを楽しむことは出来ませんが、街中でも森でも美しい紅葉を目にする事が出来ます。

トランペットではなく、フリューゲルホルン2本を使った、シンプルかつ、斬新な「もみじ」演奏をお楽しみください。 

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フィンランドの金管アンサンブル、ユーフォリア・ブラス・セクステットのファーストアルバム、「Kun 〜時(とき)」。ヘルシンキ市立劇場の女優、歌手であるエミリア・ニューマンをソリストに迎え、1950〜1960年代にフィンランドで流行った歌を中心に収録。斬新な編曲で好評を博す。

ヴィサ・ハーララ(トランペット・キュミ・シンフォニエッタ首席)
元フィンランド放送交響楽団トランペット副首席。ブラジル音楽を心の拠り所にしている、マルチインストゥルメンタリスト。

ミーッカ・サーリネン(トランペット・フィンランド放送交響楽団副首席)
元々、スタジオミュージシャンとして、ポップス系や、ロックバンドでも働いていたが、放送響入団後はバロックに目覚め、現在はフィンランドバロックオーケストラ団員、シベリウス音楽院講師を兼任。

ユッシ・ヤルヴェンパー(ホルン・ユヴァスキュラ・シンフォニア首席)
元フィンランド国立オペラ劇場オーケストラ、副首席契約団員。自身の出身地である地方都市にて、音楽祭を定期的に主催している。

アンナ マイヤ・ライホ イヘクウェアズ(トロンボーン・トゥルクフィルハーモニー副首席)

元フィンランド護衛隊音楽隊副首席。トゥルク・ジャズオーケストラの設立メンバーでもあり、ジャンルを超えたクロスオーバーを得意とするトロンボーン奏者。

児島瑞穂(ユーフォニアム・北ヘルシンキ音楽学校)
東京都調布市出身。国立音楽大学、フィンランド国立シベリウス音楽院卒業。フリーランス音楽家。トロンボーン奏者としても、オーケストラの契約団員やエキストラとして活動。

アレクシ・サラスカリ(テューバ・北部キュミ音楽学校)
キュミ・ブラスイベント芸術監督。吹奏楽指導者、指揮者としての評価も高く、フィンランドの吹奏楽指揮者オブザイヤーを2020年に受賞。

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瞬間 株式会社マウントフジミュージック 藤井裕樹
PROFILE
フジイ ヒロキ
フジイヒロキ/藤井 裕樹

株式会社マウントフジミュージック代表取締役
Trombonist, Composer, Arranger,
Teacher, Writer, Producer, Consultant

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