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2022
01.09

Vol.3 痛くなる前に知っておきたい音楽家の腱鞘炎の話

こんにちは! 音大卒の整体師の有賀です。

前回の記事では『疲れないカラダの使い方3選』をお話ししました。

簡単に振り返ると

・鎖骨が動く事を意識する
・腹筋を意識する
・両足の裏をしっかりと地面に付ける

の3つでしたね?

もっと詳しく知りたい!だったり、まだ読んでいない!という方は、ぜひこちらから読んでみてくださいね!

さて、今回は前回の内容と逆の話をします。
その逆とは『もし疲れるカラダの使い方をし続けたらどうなるのか?』という内容です。

そして、疲れるカラダの使い方をして痛くなる代表的な症状が

『腱鞘炎』

です。

腱鞘炎と聞くと、ピアニストが一番なりやすいイメージですが、弦楽器も管楽器も打楽器も、どの楽器を演奏していても腱鞘炎になる可能性はあります。

つまり、楽器演奏者にとって腱鞘炎は誰もがなり得るケガ(ここではあえてケガと表現します)と言えます。

ですので、今回は腱鞘炎の簡単な仕組みの話と、腱鞘炎になりやすいカラダの使い方、そして腱鞘炎の予防まで話していきます。

ちょっと今までより濃い内容になりますが、今回の話が理解出来ると腱鞘炎に対する恐怖心が減りますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね!

 

そもそも腱鞘炎とは?

『腱鞘炎』

音楽家さんがなりやすいケガの第1位と言っても過言ではないケガです。

ですが、この腱鞘炎、どのような状態を示すのかご存じでしょうか?

・指が痛い
・手が痛い
・腕が痛い

これらは腱鞘炎の自覚症状の代表例ですが、この痛みは果たしてカラダのどこがどうなっているのでしょうか?

まず腱鞘炎で大事になるのは

『筋肉の痛みではない』

という事です。

え?じゃあどこの痛みなの?

と思った方、よーーく『腱鞘炎』の文字をご覧ください。

ここにヒントが隠されています。

 

さて、わかりましたでしょうか?

 

腱鞘炎は文字の通りですが『腱鞘』という部分の『炎症』になります。

では、腱鞘とはどの部分でしょうか?

少々文字が読みづらいですが、水色の部分が『腱鞘』になります。

そして、緑色の線が『腱』になります。

そこでこの画像をよーくご覧になっていただきたいのですが、腱鞘は腱を覆ってますよね?

つまり腱鞘の役目は、腱が動く時にあっちこっち行かないように(ズレないように)包み込みむ役割があります。

この『腱鞘』が手の使い過ぎ、あるいは使い方が上手でない事で、腱と腱鞘との間で摩擦が起こり炎症を起こすのが『腱鞘炎』になります。

 

腱鞘炎になる音楽家さんの特徴

先ほどサラッとですが、腱鞘炎は手の使い過ぎや使い方が上手でないと起こると伝えましたが、ではどのような使い方をすると腱鞘炎になりやすいのでしょうか?

これはあくまで僕の経験上の話にはなってしまいますが、腱鞘炎になる方には以下の特徴があります。

①体幹が弱い(使えていない)
②背骨が硬い
③手や指だけを使って演奏している。
④脇の下やその周辺に余分な力が入りっぱなし

実際はまだほかにもありますが、まとまらなくなるので、ざっと挙げると、この①〜④が特徴です。

ただ、極論ではありますが、②〜④が起きる原因はほぼ①に集約されると言っても過言ではありません。

体幹が弱い(使えていない)事で背骨が硬くなったり、手や指に負担がかかったり、脇の下やその周りに余分な力が入ったりします。

もちろん全ての原因が体幹ではありませんが(特に背骨が硬くなる原因は本当にさまざまなので、あくまで硬くなる原因の1つです)体幹が弱い事でカラダの末端部分に負担がかかりやすくなるのは事実です。

基本的に腱鞘炎は、長時間の演奏を長い期間にわたってし続けて、肩や腕や手に負担がかかり続けた結果なるのですが、長時間の演奏を長期間し続けても腱鞘炎にならない方も実際いらっしゃいます。

その違いは、僕は『体幹の使い方』、言い換えると『カラダの使い方』が上手いかどうかで決まってくると考えています。

要は、手や腕や肩に負担がかかりにくい演奏方法を身に付けているという事です。

ちなみにその方法の1つとして、前回の記事で書かせていただいた『疲れないカラダの使い方』がありますので、ご興味ある方はぜひこちらからお読みくださいね!

 

腱鞘炎を予防する方法とは?

では、最後のトピックスになりますが、腱鞘炎を予防する方法を1つお伝えします。

腱鞘炎を予防するには、それこそ先ほどの『手や腕や肩に負担をかけない演奏方法を身に付ける』が1番だと考えていますが、これを身に付けるのは正直な話、簡単ではありません。

もちろん必要な事なので、必ず身に付けてほしいのですが、まずは誰でも今すぐ始められて効果がある予防法をお伝えします。

それは

『腕と指のストレッチ』

です。

なーんだ。ストレッチかぁ…

と思った方、このストレッチは本当にあなどれませんよ。

なぜなら、なかなか丁寧にストレッチ出来ている方が少ないからです。

たとえば

腕の筋肉のストレッチの時に手首の角度を変えたりしていますか?
曲げたり反らしたり両方向に動かしていますか?
指を一本一本、もっと言えば関節ひとつひとつの筋肉をストレッチしていますか?

手や指を動かす筋肉はたくさんの種類がありますし、演奏するとなるとそれらをフル稼働させますので、全ての筋肉が疲れます。

ですので、形だけを覚えるのでなく、手首の角度を変えたり、曲げる反るの両方向だったり、指でしたら関節ひとつひとつをストレッチする事で、かなり疲れが取れます。

疲れが取れると、最初のほうでお話した腱鞘と腱の摩擦が起きにくくなり、腱鞘炎も予防出来るので、ぜひ今日から演奏後には必ずやってみてくださいね!

ただ、これさえやれば完璧に腱鞘炎を予防出来るものではない事はご理解いただけると幸いです。

 

最後に

いかがでしたか?

すごく簡単ではありますが、腱鞘炎についてその仕組みと予防法までお話させていただきました。

腱鞘炎は本当に音楽家さんがなりやすい代表的なケガなので、これを予防出来るとなると、かなり不安が減ると思います。

ですので、腕のストレッチ、指のストレッチを今日から行って、腱鞘炎の予防に努めてみてくださいね!

最後までお読みいただきありがとうございました!


※株式会社マウントフジミュージックでは、「音楽とリラクゼーションでココロもカラダもリラックス」というコンセプトで『音ラク空間』(おんらくくうかん)というお店を運営しています(東京都江戸川区西葛西)。ストレッチ整体「リ・カラダ」のメニュー「りらくすとれっち」は、この記事の執筆者の有賀さん監修です。音楽家さんの身体のメンテナンスにも役立つと思いますので、ぜひご利用ください!

記事を書いた人

有賀健人(あるがけんと)
有賀健人(あるがけんと)

長野県出身。7歳でピアノ、14歳でドラムを始める。小中高と野球部に所属しながら音大進学を目指し、洗足学園音楽大学 音楽・音響デザイン学科に合格。在学中、幅広く音楽に関する知識を学ぶ中で、「カラダの使い方が変われば音が変わる」という体験をし、それをきっかけにカラダの仕組みのトリコになる。卒業後、医療系国家資格を取得し、整形外科のリハビリ、整骨院勤務を経て、現在は都内でプライベート整体院を営む一方、ネットを中心に音楽家向けにカラダの大切さを伝える活動を行っている。

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