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2023
01.29

音楽家のアナタ!インボイス制度の準備は大丈夫!?

最近「インボイス制度」という言葉がよく聞かれるようになりましたね!(「何それ?」という声が返ってこない事を祈ります。。)

個人事業主、フリーランスにとっては重要な制度変更で(どちらかと言えば悪い意味で?)音楽家にとっても他人事ではないと思うのですが、未だに「ほとんど何も知らない、わからない」という方が周囲にたくさんいる印象ですね(漫画家・声優・クリエイター系の方の間ではもう少し話題になっていて、ミュージシャンが取り残されている印象もあります)。

「何だかよくわからないうちにスタートさせて税金を取ってやろう!」

という政府の策略のように思えなくもないので(個人の感想です)、知らないのも無理はないのですが、知らないままだったり、何も考えずに申請を行うと

・今までより納税額が増える

・今までよりギャラが下がる

・最悪の場合、呼ばれていた現場に呼ばれなくなる(仕事を失う)

可能性があるようです。

多少知識のある方は、今年(2023年)10月1日からスタートだという事はご存知かもしれませんが、この制度に登録する場合、3月31日までに登録しないといけないので、わりとすぐの話なんですよね。

僕は元個人事業主の音楽家(トロンボーン奏者)で、今は経営者。イベントや音楽教室で、音楽家、講師を雇う立場にあるので、それなりに情報収集をしました。

今回は僕がわかる範囲で、この「インボイス制度」を解説しようと思います。
(3月は確定申告だけでも大変だと思うので、出来る事は今のうちに!)

※2023年3月31日加筆:登録期限が9月30日に延期となったようです!

そもそもインボイス制度とは?

実は僕も、昨年の10月くらいまでよくわかってなかったんですよね…

正直、今でも全貌は理解出来ていません。

ググってみたけど、頭の良い税理士さんや専門家の文章は難しいですね(苦笑)。

で、いきなり他力本願ですが(笑)、僕でも理解出来たYouTube動画を紹介します!

税理士「栗原邦夫」さんのYouTube

「音楽家のための確定申告(オンカク)」でも有名な、おそらく日本一音楽家に寄り添った税理士さんです(僕が音楽ディレクターを務めるNPO法人ネクストステージ・プランニングでも、以前「音楽家のための確定申告講座」を開催していただきました)。

インボイスで怖いのはココだ!』(2021/9/23)

知らないと損するインボイスの猶予期間』(2021/9/24)

こういう人はインボイスの影響を気にしなくても大丈夫』(2021/9/25)

注:これらの動画は2021年9月の内容です。栗原さんのYouTubeチャンネルでは、コロナ禍に補助金や助成金についての解説動画をたくさん発信してくださっていたのですが、最近はお休みされているようです。

※ちなみに栗原さんが毎年出している確定申告の本では、このインボイス制度についても書いているそうです!

音楽家、指導者、フリーランスのための確定申告・税金ガイド オンカク 【2023改訂版】

オリエンタルラジオ「中田敦彦」さんのYouTube大学

もはやお笑い芸人と呼んで良いのかわからないインテリ芸能人、中田敦彦さんの動画です。さすが人気の「教育系YouTuber」だけあって、とてもわかりやすいですね!

【インボイス制度①】消費税のルールが変わる!その意味は?(2022/6/21)

2023年4月24日加筆:↑現在「非公開」になっているようです(「益税」の説明に誤りがあったり、何らかの問題があったようです)

MusicPeoplesNest(MPN)の動画

一般社団法人演奏家権利処理合同機構MPN」は、音楽家の著作権隣接使用料の分配などを行っている団体で、僕も登録しています(余談ですが、スタジオミュージシャンとしてアーティストさんのレコーディングなどに参加している場合、レコーディングのギャラの他に、印税のような報酬が支払われる場合があります。僕は現在、経営者でスタジオミュージシャンの仕事はしていませんが、数年前にレコーディングした仕事の分配金が今でも少し入ってきます)。

【MPN解説動画】ミュージシャンのためのインボイス制度解説 #1 (2022/6/21)

2024年1月17日加筆:↑こちらも現在「非公開」になっているようです。

※中田さんの動画やMPNも7ヶ月前くらいの動画で、最近のアップデートがないようです(進展がないのか?相変わらず不透明な制度だからか?)

※各動画はページ下部にサムネイル付きでまとめておきます!

インボイス制度で気をつけないといけない音楽家は?


ポイント

・売上が1000万円以下の音楽家は注意!

・取引先が大手の音楽教室、音楽事務所、オーケストラなどの音楽家は注意!

・申請すべきかは、メインの取引先(音楽事務所や教室運営をしている楽器店 etc.)による?

栗原さんも動画でおっしゃっていますが、たとえばあなたがオーケストラのエキストラの仕事をメインにしているとします。

あなたがそのオケにとって「絶対に必要な奏者」で、「あなた〝が″必要」という状況であれば、オケ側が消費税分を支払ってくれる可能性があります。

ですが、「あなた〝でも″良い」という状況だと、オケ側はインボイス制度に申請している奏者を使うほうがメリットがあるので(奏者分の税金を支払わなくて済むので)、申請していない人だと、そもそも仕事に呼ばれなくなる可能性があります。

これはもちろん、クラシックのオケだけでなく、タレントさんのツアーサポートなどで事務所と取引きしている音楽家も同じです。

「自分は絶対にこの現場に必要とされているという自信のある方」は大丈夫かもしれませんが、そうでない方はきちんと申請したほうが良いかもしれませんね(消費税分は納めないといけなくなりますが、仕事が無くなるよりはマシです)

うちの顧問税理士さんは、

「音楽家は専門職なので、インボイス制度に登録していないからと言って、そう簡単に切らないのでは?」

とおっしゃっていましたが、僕の経験から言わせてもらうと、

「この現場、その楽器の音が鳴っていれば誰でもいいんだろうな」と感じた仕事は結構あるし、このご時世、どこのエンタメ企業も厳しいので、「奏者の分も消費税を肩代わりしてあげよう」という余裕や心意気のあるところは少ない気がしますね…

実際、某大手の音楽教室では、登録講師に対して

・インボイス制度に登録する

・登録しない人は報酬を10%(消費税分)下げる

という二択を通達したという話を最近耳にしました。

つまり、「教室の運営会社側で、あなたの税金分は払いませんよ」という事ですね。

取引先が簡易課税制度に登録している場合は関係ない

実はうちの会社はこれに当たります。

ざっくり説明すると「課税売上が(1000万円を超えていて)5000万円以下」で、この「簡易課税制度」を選択、申請している事業者です。

顧問税理士さんによると、この場合、「売上の何%を納める」というパーセンテージが決まっているため、奏者や講師がインボイス制度に登録していても、していなくても、うち会社の納税額が変わらないので、登録させたり、報酬の消費税分に当たる金額を下げたりする必要はないそうです。

音楽家や講師の立場で問題だと感じるのは、「御社(個人事業主・事務所の場合もあります)は課税業者ですか?」「簡易課税を選択していますか?」と質問するのは難しい可能性と(「売上が1000万円を超えていますか?5000万円以下ですか?と聞いているようなものなので)、多くの個人事業主(音楽家)は、現場によって事務所も違うし、「今年はこのアーティストさんでこの事務所にお世話になったけど、来年は同じところから全く呼ばれない」というのもよくある事です(同時進行で、いくつもの事務所と取引している音楽家も多いと思います)。

「今年はインボイス制度に登録しておいたほうが得、来年は抜けよう」という事がしづらい制度なので、必ずしも申請したほうが良いと言えないのか難しいところですね。

たとえば、

・年間で某大型テーマパークの仕事をしていて、取引先はほぼ一社(プロダクション)。そのプロダクションが消費税分を肩代わりしてくれないなら明らかに申請すべきだけど、この仕事を今後ずーっと続けていくつもりはない(以前の僕はこの状態)。

・現在は大手の音楽教室所属だが、近々独立しようと思っている。今後は個人教室を立ち上げて、取引先は大手の会社や事務所でなく、一般の消費者になる。

このような場合、焦って申請する必要はないかもしれません。

本当にケースバイケースで、申請したほうが良いかは人それぞれ。これまで以上に「音楽家としての人生のビジョン」を見据えないといけないと言えるかもしれませんね。

基本的にはあまり良い制度だとは思いませんが、プラスに考えるとしたら、

・音楽家(芸術家)が苦手な「将来のビジョンを考える、明確にイメージする」必要がある事で、人生がうまくいく可能性が出てくる

・売上が1000万円を超えてしまえば悩む必要はないので(どうせ税金を取られるので)、「頑張ってそのラインにいきましょう!」という励みになる

こんなメリットはあるかもしれません。

ちなみに、現在駆け出しで、アルバイト(給与所得)がメインの場合、音楽家(個人事業主)側の経費が認められなくなるなんて話もあるらしいので、若い世代は大変かもしれないですね。

若いうちは、前述のような「あなた〝が″必要」と呼ばれる音楽家になるには時間や経験、実績が必要で、最初は「あなた〝でも”良い」というところからスタートすると思います。

僕も、年収が低かった頃に消費税分を納めなくて良かった制度(益税と言います)には救われていたので、この制度によって若い音楽家が夢を諦めたりしなくて良い形で進んでくれる事を願うばかりです。

本当によくわからない制度で、社会的弱者や、夢をもって専門職に就こうとしている音楽家やクリエイターにもやさしくないものですが、社会、政治、環境のせいにしても始まりません。結局損をするのは自分です。

なるべくこのような制度を理解し、手玉に取られず、生き残っていきたいものですね。

紹介した動画を観ても、このブログを読んでも、自分はどうしたら良いかわからない方は、ご相談に乗りますので、メールなどでご連絡ください!

※僕は税の専門家(税理士や国税庁職員)ではなくて、あくまで元フリーランスのミュージシャンで、現在は小さな会社の経営者です。その立場で、なるべくわかりやすくお伝えしているつもりですが、もしも専門の方がご覧になって、間違っている情報が書かれていたらご指摘いただけるとありがたいです。

株式会社マウントフジミュージック
代表取締役 藤井裕樹

参考:音楽家(ミュージシャン)のための請求書の書き方「インボイス制度対応」

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PROFILE
フジイ ヒロキ
フジイヒロキ/藤井 裕樹

株式会社マウントフジミュージック代表取締役
Trombonist, Composer, Arranger,
Teacher, Writer, Producer, Consultant

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